03. 個別指導研修(2010/05/09)

この内容は、2010年5月9日の個別指導研修に基づきます。学び場さくら塾スタートアップ時にボランティア講師を集め、個別指導経験者を御二方お呼びし、効果的な指導に関する研修を行いました。


挾間龍亮(応用理工学類)

個別指導について、簡潔に話したいと思います。僕自身は大学1年の11月ぐらいから、個別指導を行っていて、小学生から高校生まで幅広くみてきました。

そのなかでこのさくら塾に活かせるなってところが、いくつかあるのでそれをちょっと今から伝えていければと思います。

この前の説明会でも話したけれど、個別指導を行う上で、大事なことは大きく2つあります。

まず一つ目は生徒と仲良くなること。

内藤の言葉で言うと信頼関係を築くということです。

で、もう一つは、個別指導なんだから当然だけど、丁寧に指導するということです。


今からその二つについて、ちょっと詳しく説明していきたいと思います。

まず最初にこれは丁寧に指導するということなんだけども、空中説明をしないということです。

空中説明の「空中」というのは空の中のことなんだけど、要は話し言葉だけで相手に伝えようとしないことです。

指導に慣れていないうちは、何か生徒が分からないとうことがあると、これはこうだよ、これはこうだよと、言葉でどんどん説明してしまう。

自分の頭の中で答えが既に出来上がっていて、生徒と距離が近いということもあって、ついつい口だけで説明してしまう。

でも、そうなると生徒は耳で聞いてしかいないことになるから、理解度が落ちてしまう。

個別指導塾に入って研修をした当初、一番大事なこととして、研修をした塾の社員から言われたことが、「空中説明しない」ということでした。

とにかく、紙に書いて指導することが重要だということです。

例えば、数学だったらこの式を書くんだけども、なんでこの式がこうなるのかとかというのを、言葉を添えるとか、矢印で説明の流れを視覚的に説明していく。

空中説明では、耳からしか情報が生徒に入らないんだけれども、ちゃんと紙に書いて、図、式、文字を見せることで、目からちゃんと情報が入って理解度が上がる。

これは間違いありません。

講師が各自、指導ノートを作って情報を紙に落としていきましょう。

できるだけ書いて、分かりやすく説明するということを個別指導をするときに心がけてほしいと思います。


それと関連して、この前内藤が言ってて、僕が言ってなかったこととして、生徒の目を見ながらちゃんと授業をする事が挙げられます。

これは、一番最初に言ったけど、生徒との信頼関係を築く上で、非常に重要になります。

例えば、生徒を見ずに、ノートの方ばかりを見ながら説明するのは避けた方が良い。

生徒と信頼関係を築く上でちゃんと顔と顔を合わせて、目と目でコンタクトをとるということを心がけてほしいと思います。

僕自身はもう慣れてるので、知らず知らずのうちにできているんだけれども、最初のうちは難しい。

この問題には、意識して取り組んでもらいたいです。


それから、これも細かいことなんだけれども、生徒に対してなるべくフレンドリーに話しかけてほしい。

ぼくが、今まで受けてきた研修で言われたことは、兄弟のように話しかけるということ。

兄弟がいない人でも、何となくイメージがつくんじゃないかなと思います。

それだけの親密さをもって生徒に接してほしい。

これは生徒と仲良くなるということに繋がるだろうし、さっきから言っている信頼関係を築くという上で大事になる。

物理的に生徒と講師の距離が近いから、やっぱり話し方もそれに合わせて距離を考えることが大事になります。

ぼくが個別指導の研修を受けた時は、相手が大人で上司に当たる人だったので、全部、ですます口調で言っちゃって、雰囲気が堅くなってしまった。

個別指導が初めてで、相手が社員だったから、ですます口調になっていたんだけれど、多分社員じゃなかったらできたんじゃないかなと思います。

とにかく、さくら塾は社員もいないし、自由にできるので、自分の色を出して欲しい。

フランクに生徒に話しかけるようにするのがいいんじゃないかと思います。



個別指導のメリットは、なんといっても一人一人と会話ができるという点。

集団授業は、全体に向かってみんなに分かりやすい授業を心がけるんだけれども、個別授業というのはピンポイントに、その生徒一人一人の特性にあった対応ができる。

どういうことかというと、例えば同じ学年の生徒に全く同じ教科、範囲の説明をしたとしても、理解度や前提となる学力が、それぞれの子どもでまるっきり異なることもあるので、生徒の頭の中に入る内容が変わってくることがよくある。

では、どうすればいいのか。

それは、生徒の教材や指導方法に対する反応をよく観察することです。

練習問題を解かせたり、項目の説明をしたりした時の反応で分かると思います。

だから、さっき述べたようにノートばかりを見ないで、生徒を見て欲しい。

個別指導では、生徒一人一人に対して教え方をちょっとずつ変える、そういうことも必要になってくるんじゃないかなと思います。


関連して、個別指導というのは、生徒の出来ないところ、弱点が見えやすい。

その生徒が、どのような項目に弱いのかが、教えてると自然に分かってくる。

ぼくが、昔担当した生徒で数学で、二次関数が分かるんだけど、一次関数が分からない生徒がいた。

二次関数の曲線が y=ax二乗として理解は出来るようだったけど、一次関数のxy平面があって、線が引かれていて、座標が表されているような時、この一次関数の式が分からなかった。

このように、思わぬ所に弱点が発見されることがよくある。

だからその弱点をそのままにしておかないよう、生徒の苦手な分野を把握することがとても重要になる。

理解度確認シートに、間違った問題をなるべく細かく記入し、見つかった弱みを忘れないようにする。

そして、弱点を時間をかけて克服する対策を立てる。

こういった、丁寧な対応が出来るのが個別指導の利点だと思います。


例えば集団の塾だと教室があって黒板があって先生が立って、生徒が20人ぐらいいるかもしれない。

授業中の生徒って、うるさいイメージがあると思う。

集団講義の時は、生徒が多いから、実はゆるい空気になりがちなんだよね。

だから、集団ではめちゃくちゃ厳しい先生が担当することが多いような気がする。

こういう先生に生徒が当たっちゃうと、怖くて萎縮しちゃうという例を見てきた。

それと比べ、先生が直近にいる状況で、緊張感を持って、生徒が授業を受けれるのが個別指導の特徴。

距離が近い分、生徒は自分のこと、たぶん年が近いというのが関係あると思うけど、結構話してくれる。

これは、さっきの述べた信頼関係の話にも繋がる。

なるべく、話しかけてきたら拒否をしないで聞いてあげる。

相手に合わせることが大切。

勉強することは大前提だけど、延々2時間、勉強の話ばっかりしていると、生徒も飽きちゃう。

特に、勉強する習慣がついていない生徒は、なおさらだね。

中学生くらいの年頃は話したがりの子が多いから、自分の話とか、先生に対する質問をしてくれると思う。

ちょくちょくそれを、休憩がてらに挟んでおくといいと思います。

何が大事かというと、生徒に塾に来やすい環境を作っていくということです。

もし、勉強ばっかり、個別指導の空間がさくら塾の空気が嫌だなとか、なったら意味ないじゃん。

だから、「嫌だな」という印象を植え付ないように注意することが大事です。

相手の話を聞くことが関係の潤滑油になるわけです。

そういうのが個別授業の特徴ということも知っておいてください。


個別指導にも問題がある。

あまりにも、相手に合わせすぎると、相手が講師に慣れすぎちゃって、言うことを聞いてくれない恐れがある。

これは1週間や、2週間、1ヶ月では表面化しない。

例えば、ぼくは1年弱ぐらい、小学生の個別指導を受け持っていたことがあります。

でも、時間が経つと担当していた小学生がほとんど勉強してくれなくなった。

結局、凄くなついてくれてたんだけど、勉強しようと言っても、「えー先生」、ってテキストにいきなり落書きを始めたり、手に負えないことになった。

どうやら手塚治虫が好きな小学生で、手塚治虫にでてくる豚みたいな漫画を書いて、その横に、「挑戦状」って書かかれてあったことがある。

全く意味がない、おふざけのつもりだと思うのだけど、「先生、なんか挑戦状が来ていますよ」「先生に」って。(会場笑)

そこまできたらヤバいよねって話です。


全然生徒が言うことを聞いてくれなくて、収拾がつかなくなっちゃうこともあるので注意して下さい。

ぼくの話は小学生だから、中学生はそれほど心配する必要な無いと思うけど、あんまり甘やかしすぎるとだめだ。

どこかで叱る必要があります。

ぼくは叱るのは苦手なタイプで、上司に「こんな状況なんです」と報告すると、おもっきり叱れて言わました。

でも、人には性格みたいなものもあるから、仕方ない面もあります。

それでやっぱり甘やかしすぎちゃったんだよね。

だから何が言いたいかというと、最初の方から叱るということを意識しておくこと。

特に、やさしいタイプの人はね。

だから、自分で叱った方がいいかなと思ったら積極的に叱るといいと思います。

叱り方は、生徒に合わせて反応を見ながら反応をみてやっていくことになります。

悩むことがあったら、周りの先輩などにどうすればいいか相談すればいい。

きっと同じような体験をしてるだろうから、解決策を提示してくれると思います。



個別指導をやっていて良かったことを話します。

去年、2009年の3月にちょっと問題がある生徒の勉強を見てくれないかという話がきて、その生徒の担当することになった。

その生徒は詳しい経緯は分からないけど、特殊な事情があったらしく、中学は卒業したんだけど高校が決まっていない。

高校進学率が98%、ほぼ100%に近い日本の高校進学状況から考えると、めちゃくちゃ珍しい生徒さんだったわけです。

中学校でほとんど勉強しなかったらしく、高校浪人、こんな言葉あるのか分からないけど、することになって、1年後高校に入りたいということだった。

英語は自分が担当になって、数学は別の先生が指導した。

週に2回ぐらい、夏期講習、冬期講習時期はほぼ毎日勉強を教えた。

結構な時間をかけて英語を教えたんだけれども、はじめの生徒の言葉が印象的でした。

最初英語がどのくらいできるのって生徒に聞いたら、「英語を捨ててた」と一言。

教え始めは、中2のテキストを使って教えることにした。

これは中1の復習だから、そこの問題をとかせるようにしたが、全く解けない。

主語と動詞の区別もついていなかった。

be動詞や一般動詞の区別もなくて3単現のsの追加も分からなかった。

1から勉強を教えようとしたんだけれども、今まで勉強していないという割りに、すごくまじめな子で、さすがに塾での勉強時間だけでは伸びないので、彼に宿題を出した。

そしたら全部やってきて、凄くよく勉強した。

そういう子は本当に伸びます。

「やってきて」と言ったことに対して、真面目に取り組み、ぐんぐん出来るようになっていった。

教えたら教えた分だけ吸収してくれたから、僕もやりがいを感じてきて、どういう風に説明すれば効果的かを、いつも考えながら指導した。


勉強を教え始めて1年が過ぎた。

公立高校の受験は、5教科なんだけど、時間が足りないので理科、社会以外、つまり英数国の3科目に絞って私立専願にすることにした。

年末で英語に関しては、公立の問題は9割りぐらい解けるぐらいになった。

受験の結果は、今年1月、2月に、残念ながら第1志望は落ちたんだけど、第2、第3志望に見事受かった。

本当に、学力がほとんど無い状態から、高校に入学することが出来たわけです。


受験の真っ最中に、その子がぼくを訪ねに来てくれたんだけど、こう言ってくれた。

「英語が得意になりました」

この言葉が、言いようもなく嬉しくてね、本当に個別指導をして良かったと思いました。

これまで、受験にむけて、とにかくたくさん英語を勉強しなきゃならないと思ってたんだけど、今までの努力が報われた嬉しい瞬間でした。

なんかちょっとまずいなと思ったのが、数学は、嫌いと言ったこと。

最初4月に、入ってきた時は、まだ出来る教科が数学だったんだけどね。

4月当初の学力は、古典が比較的得意で、よく覚えたんですよと言っていた。

その次が、正負の計算ができる数学だった。

一番出来なかった教科が英語だった。

だから、英語が一番出来るようになったのは、教えている立場からはすごくうれしかった。


以上で、僕の体験は終わりです。


とりあえず、指導はやってみないことには分からない部分が多いと思います。

不安も多いですが、勇気をもって挑戦の場にとびこんでもらいたい。

生徒に勉強を教えて、成果が上がって感動した体験が語れるようになるのはすばらしいことです。

次は、担当者が変わり、よりプラクティカルな話を行います。


内藤達也(人文学類)


個別指導のやりかたってことで、今ちょうどさっき英語が好きになったって話を聞いていて、思い出したのはこの前の試験監督の話。

これは日曜日にやったんだけど、その中に個別指導していた生徒がいて応援したくなった。

生徒に対する自分の愛着が感じられた。

そういうのをもてるようになったら、おれら自身、ある意味成長できてるのかな。

最初ってどうしても切羽詰まったり、そういう心境をかもしてるところがある。

ある程度ついてきて、あ、この勉強を教えていて、愛着がもてるかなって思えるようになったら、それは成長したんじゃないかなと思いました。


で、おれから言いたいのは、3点です。


1個目は、生徒にこちらから声をかけてください。

これはなかなか見落としがちです。

これは、挾間くんと意見が異なるのですが、思春期の中学生はなかなかの恥ずかしがりやだと思います。

だから、質問をするってことが実は彼らにとってちょっとハードルがたかかったりする。

ということで、例えば数学の問題とかでちょっと生徒の手が止まっていたら、おれらから声をかけていかなければならない。

それが1点目です。


2点目は、生徒にね、勉強の具体的な解き方を教えるのはもちろんなんだけれど、それ以上に勉強のやり方を教えることにかなり意識を持たないといけないと思っています。

勉強のやり方って、おれの中でのイメージは、ちょうど補助輪を外すときに手伝ってあげるお父さん、お母さんみたいなもの。

最初補助輪を外すときって、必ず大人が後ろのところをもって一緒に走ってあげる。

知らず知らずの内に子供が自転車を話しても走れるようになる。

個別指導というのは、これとかなり似ている。

最初は、いろいろ勉強のやり方などを教えてもらう。

そうやっているうちに、自分で一人で勉強できるようになる。

これが一番勉強を教えるより大切じゃないかなと思っている。

そういうイメージをもってやってもらうと、生徒は伸びるのではないかと思います。

勉強のやり方を教えるということ。


3つ目は、受験のことについておれら自身が、ある程度知っていた方がいいという話。

生徒にとって特に中三になると、関心ごとの一番大きいものが、進路のことになってくると思います。

そこで例えば、「先生、私並木高校に行きたいと思うんだけど大丈夫かな」という風に言われることが確実にあると思う。

その並木高校が、どこにあるかも分かんないなとか言っちゃうと、生徒にこの先生が頼りにならないなと思われてしまう可能性がある。

そのことは避けたいことです。筑波大学は、全国から優秀な学生が集まってるのだけど、茨城県の公立高校の入試については知らない人多いでしょ?

まあ5分ぐらい、インターネットで茨城県の高校入試ランクみたいなので検索して、勉強しておいて下さい。

どの高校がどのレベルで、500点満点で何点ぐらいとれればその高校に行けるか、というのを知ってるだけでも全然違います。


ちなみに、竹園高校は420、430点くらい入試でとることが出来ると合格できると言われてる。

さらに、公立高校は内申点も影響する。

こういった勉強指導以外の面についての知識も付けておくことが必要です。

さくら塾は無料で勉強を教えているとはいえ、塾であることは変わりません。

緊張感を持って取り組んで下さい。